個人再生と自己破産はどちらも裁判所に申し立てを行って利用する制度であるという点で共通しています。
しかしながら裁判所に申し立てをするということは共通していても他のところでは大きく異なるものとなっていますから、制度を利用する前にそれぞれの違いをしっかりと理解していなくてはなりません。
ではこの二つにはどういった違いがあるのかというと、まず挙げられるのは減額の違いです。
自己破産とは個人が破産をすること、つまり債務者が経済的に破たんしてしまっていて返済をすることが不可能であることを証明し、債務を全て帳消しにしてもらうことです。
これに対して個人再生の場合は経済状況を再生させるために債務の返済額を少なくし、分割返済という形に変えて状態を改善させるものです。
よって個人再生の場合は借金の減額幅が最大で10分の1までとして制限されており、どのような状況にあっても返済するべき額がゼロになることはありません。
よってもしもそもそも返済をすることが出来ないことが明らかになっている場合には自己破産を選ぶべきとなります。
次に違いとして挙げられるのが財産の没収の有無についてです。
先ほどのことを踏まえると破産をした方が債務問題解決の効果は大きいように見えるのですが、その分この自己破産の制度には強烈なデメリットがあります。
破産をするということは経済的に破たんをしていること、つまり返済をしようにも財産が無く返済が出来ない状態であるという前提があります。
ですがもし破産を申し立てた人がまだ財産を持っていて、それを返済に使用しようとしていないだけということであれば破産は認めてはいけません。
よって破産手続きの中では申し立てをした債務者の状況が精査され、マイホームなどの高額財産があった場合には必ず没収・売却されてその売却益が債権者に配当されてしまうのです。
次に資格制限の有無もあり、破産を行っている人はお金に困窮しているためにお金を取り扱う資格を使って仕事をすることは一時的に禁じられますし、士業と呼ばれる信用があることが前提の職業についても制限があります。
そして何より大きいポイントとしてチェックしたいのが、自己破産はギャンブルや浪費による破産を認めない免責不許可事由があることです。
個人再生の場合は財産の没収や資格制限、免責不許可事由が無いため、返済を継続できるだけの収入があればかなりリスクを抑えて制度を利用できると言えます。
こうしたことを踏まえると、減額の違いは大きいもののその他の違いもかなり大きく、一長一短があるということになりますから、事前にそれぞれの方法を知った上で適したものを選ぶようにしてください。