任意整理は裁判所を通さずに債権者と直接交渉を行うことによって行われる債務整理です。

裁判所を通さなくて良いために費用が比較的安いことはよく知られていますが、任意整理にはこの他にもいくつかのメリットがあります。

ではどういったものがあるのかについてですが、まず挙げられるのは過払い金の返還がされる場合があることです。

過払い金とは貸金業法が改正されるより以前、業界の慣習として黙認されていたグレーゾーン金利によって請求されて支払ってしまった利息のことで、この払いすぎた利息に関しては法律で返還をすることが義務付けられています。

もちろんただ単に貸金業者に対して「過払い金があるはずだから確認して欲しい」といっても返してはもらえませんが、
専門家が任意整理を請け負う際には必ず過去の取引履歴と利息制限法によって定められる適切な金利を用いた引き直し計算が行われますから、手続きの中で過払い金が見つかった場合にはほぼ間違いなく返還してもらえるわけです。

次にメリットになるのが自由度が高いことです。

債務整理は多くが債権者全員に対して一律に交渉を持ちかけなくてはならず、個人再生でも債務整理の対象外にできるのは住宅ローンのみです。

自動車ローンや連帯保証人が付いている債務の返済は継続したいという場合、そこで最も有効なのは交渉を持ちかける債権者を債務者側が選定できる任意整理となるのです。

そして三つ目のメリットとなるのが専門家が交渉するために手続きが簡単になることです。

ここで言う専門家とは弁護士・司法書士のことですが、こうした専門家は債務整理の手続きのことを熟知しており、また債務整理の案件を多く取り扱っている専門家だと貸金業者側の対応をある程度予測できますから、かなり効率的な交渉を持ちかけることが可能です。

一応この交渉は個人でも持ちかけることができるのですが、最近の貸金業者だとそもそも専門家以外からの申し込みは受け付けないということがかなり増えてきているため、過払い金請求程度であればまだしも交渉となると専門家に任せる以外の選択肢は事実上ないといって良いでしょう。

専門家が交渉の申し込みをすれば業者側もしっかりと対応する他なくなりますから、債務者は専門家と打ち合わせて依頼し、あとは結果を聞くだけで良いわけです。

債務額の減少自体はさほど大きくないことなどのデメリットはありますが、こうしたメリットは非常に大きなものであるのは間違いありません。

もしここまでで述べてきた特徴を評価できるのであれば任意整理の利用を検討してみると良いでしょう。